1980年に琉球大学農学部比嘉照夫教授によって開発された有用(Effective)な微生物群(Micro-organisms)のことで、自然界に存在する発酵や組成の働きをもつ光合成菌、乳酸菌、酵母菌等の有用微生物を複合培養した資材。
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1980年に琉球大学農学部比嘉照夫教授によって開発された有用(Effective)な微生物群(Micro-organisms)のことで、自然界に存在する発酵や組成の働きをもつ光合成菌、乳酸菌、酵母菌等の有用微生物を複合培養した資材。
自然界には大きく分けて蘇生と崩壊という二つの方向性があります。蘇生の方向性に進むと、すべてのものが生き生きとし、健全な状態を維持するようになります。反対に崩壊の方向に変わると、腐敗や汚染が進み、病気が発生し、すべてのものがだめになってしまいます。この方向性を左右しているのが、私たちの目には見えない生命の最小単位の微生物であるということが最近わかってきました。たとえば土の中で蘇生型の微生物(善玉菌)が優勢なところでは、植物が驚くほどすくすく育ち、病気にもかからず、虫も寄ってきません。
また農薬や化学肥料をまったく必要としないので、土壌がどんどんよくなっていきます。反対に崩壊型の微生物(悪玉菌)に支配された土だと、植物は病気がちで弱々しく、害虫がたくさん集まってきて、農薬や化学肥料の支えがなければまともに育ちません。
しかし、農薬や化学肥料を多用すると、土壌はやがて崩壊型の微生物に支配されるようになるため、しだいに連作障害や病害が多発するようになり、なにも育たない腐敗型の「死んだ土」となってしまいます。こうして農薬や化学肥料を多用する現在の日本の土壌の約9割以上はこのような腐敗型にあるといわれており、国土は崩壊の方向へ進んでいます。しかし、このような問題のある土壌を蘇生の方向へ転換させる力をもつ微生物が「EM」なのです。
EMとは英語の「有用」(Effective)と「微生物」(Micro-organisms)を組み合わせた造語で、その中身は自然界に普通に存在し、蘇生の方向性をもつ微生物をたくさん集めたものです。たとえばパン生地や酒をつくる酵母菌、納豆をつくる納豆菌、ヨーグルトをつくる乳酸菌、味噌やしょうゆをつくる麹菌などの微生物を集めて一緒に培養したものです。したがって、EMは特定のEM菌と呼ばれるような微生物を含んでいるわけではありません。
EMが土の中で増殖すると、微生物のつくり出す抗酸化物質により土壌は浄化され蘇生系となり、植物が生き生きと育ちます。また、アミノ酸や有機酸、多糖類、ビタミンなどの植物の栄養になるものを分泌するため、EM農法に成功すると農薬や化学肥料を一切使わずに、高品質でしかも超多収といった成果が得られるようになります。